金木犀の香り漂う今日この頃。

色も形も無いけれど、確かに感じる「秋」の訪れ。

その語源は「飽き」という説がある。

「実りの秋」とも呼ばれるように、作物が結実し収穫を迎えるこの季節。

食卓が賑わい心身共に満ち足りる、「充足する」という意味で「あき(飽き)」と名付けられたのだそうな。

現代では「もう要らない」というネガティブなイメージを持つ「飽きる」という言葉。

しかし、本来の意味は前述の通り「満ち足りる」。

吾唯足知

現代語訳:われ、ただ足るを知る

京都龍安寺の蹲踞に刻まれている四字熟語。

物事に富み、求めるよりも前に与えられる現代で、飢えも渇きも知らず、よろこびに「飽き」た私達。

水の美味しさは、喉が渇くから沁みるもの。

ミニマムライフ、プチ断食、地方移住

そんな「手放す」ことが流行する現状は、豊かさの裏返しなのかも知れない。

飽きるほど、恵まれた私達。

「もう要らない」「満ち足りる」

さあ、今年の秋はどちらの心で歩もうか。

 

 

片岡妙晶

真宗興正派 僧侶・宇治園製茶公認日本茶大使

ネコさんと売茶翁が好き

▶Twitter

https://twitter.com/manohara_mani

▶Instagram

https://www.instagram.com/manohara_mani/?hl=ja

▶Facebook

https://www.facebook.com/myosho