お灸を始めた。

お灸とは、ツボの上でモグサを燃やし、その温熱刺激によって体調を整える治療技術である。

その歴史は古く、発祥は古代中国やインド・チベットで、実に二千年以上前とも言われている。

日本には、6世紀頃に空海弘法大師が仏教と共に持ち帰ったのが始まりとされ、江戸時代には「弘法の灸」の名でお灸ブームも起こったそうな。

ツボからじんわりと広がり、染み渡る温もり。
モグサ(ヨモギ)のすっきりとした芳香。

そしてなにより、ゆらゆらと立ち昇る煙が良い。

一富士 二鷹 三茄子 四扇 五煙草 六座頭

有名な初夢の縁起物
実は続きがあって、五番目には煙草が出てくる。

間を取り、心落ち着かせる煙草は他者との衝突を避け、上へ上へと立ち昇る運気向上を想わせる煙は社交の場には付きものだった。

現代では肩身の狭くなった煙草だが、昔はハレの日を表す縁起物として重宝されていたのだ。

そんなお灸や煙草と共に、は人類にとって欠かせない身近な存在だった。

しかし、今それを目の当たりに出来る機会はいくつあるだろうか。

ガスコンロはIHになり、ストーブは電気ヒーターへ。
お仏壇の蝋燭すら豆電球へ変わりつつある。

「危険」を避ける為にそうなっているらしいが、果たしてそうだろうか。

火事が起こるのは、火が燃えるから?

否、火事を起こすのはいつだって人間だ。

煙草が社交に対する有用性から縁起物として重宝されていたように、本来物に善悪は無い

私達は、道具を扱う存在。

だからこそ「温かい」「熱い」の違いを肌で学び、身に付けてゆきたい。

片岡妙晶

真宗興正派 僧侶・宇治園製茶公認日本茶大使

ネコさんと売茶翁が好き

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