心と和 第二十八杯『梅雨』
全国的に梅雨入りが宣言された先週。
雨が降ると、体調を崩したり憂鬱な気分になる人も多いそうな。
しかし、私は幼い頃から雨が好きだった。
景色も雨音も心地好く、中でも雨粒を眺めるのが好きだった。
ひとりでに形を変えゆく雫たちが楽しくて、いつまでも見ていられた。
大人になってからも、雨の日はわざわざオシャレをして傘と長靴を履いて外出したりした。
気分はまさに『雨に唄えば』だ。
I’m singing in the rain
Just singing in the rain
What a glorious feelin’
I’m happy again
なんて、歌い出しそう。
そんな雨に関する格言や名言は世界各国に存在し、人々にとってどれだけ大きな存在だったのかが伝わってくる。
雨を苦悩に例えたり、人生を潤す恵みとして称えたり、様々な向き合い方が見て取れた。
中でも、ドイツの詩人であるゲーテはこんな言葉を残している。
「雨の中、傘をささずに踊る人間がいてもいい。それが自由というものだ。」
“Schöne auch Menschen haben Schirme, im Regen zu tanzen. Es ist, dass es frei ist.”
また、似たカタチではこんな言葉もあった。
「嵐が過ぎるのを待つことが人生の目的ではない。嵐の中でもダンスを踊れる様になることが人生の目的である。」
“Life isn’t about waiting for the storm to pass. It’s about leaning to dance in the rain.”
雨の日の魅力は「晴れたら何をしようかな」を想わせるところにも有ると思う。
雨の日に出歩くことが嫌な人も、晴れた日にはよろこび走ることがあるだろう。
雨の日をよろこび笑う者も在れば、雨の日を嫌い厭う者も在る。
そのどちらの心も実は雨の日に舞っていて、だからこそ私達は自由なんだろう。
万人が雨の日をよろこぶことは出来ずとも、その疎ましさの裏に隠された待つよろこびを掬い上げることは出来るはず。
そうして、いつもなにかを愛でる道を歩めたら嬉しいナァ。
そんな心で、雨音を御供に今日も一杯。
片岡妙晶
真宗興正派 僧侶・宇治園製茶公認日本茶大使
ネコさんと売茶翁が好き
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