昨夜、ホタルを見た。
ふわふわと仲睦まじい2匹だった。

ここ数年は見かけなかったので、もうこの辺りには居なくなったものとばかり思っていた。
けど、よくよく考えてみたら、私が気付かなくなっただけだったのだろうな。

「本当に美味しいものってなんだと思う?」

幼い頃、祖父よりそんな問いを掛けられたことがある。
小学生くらいだった私は「高いもの」と答えた。
そんな答えを聞いた祖父は「今はそういう時代になんやなぁ」と少し哀しそうな顔をした。

昔のことはあまり覚えていない私だけれど、その時のことは何故だかよく覚えている。

歳を経るにつれ、様々なことを聞き、知るようになった。
が、その度に何かを失っていくような、そんな感覚を近頃は覚えるようになった。

社会を生きる中で得る知識とは、所詮「社会に於ける」ものに過ぎないのだろう。
価値あるものは「価値が有ると言われているもの」だし、それらを備え自分の価値を誇ってみたところで、流れが変わればすぐに倒れる頼りない代物だ。

同じものを食べて「美味い」と言うものも在れば「不味い」と言うものも在るのが私達。
故に、己に美味いものを食わせてやれるのは己だけ
ミシュ○ンでも食べ○グでもない、この舌を知るのは私なのだ。

衆にとっての道理を学び扱うことは大切だが、それはあくまでも「扱う」ものであって呑まれる必要は無い。

己の慰め種は己の心に蒔けば良い。

 

「またホタルさん来ないかなぁ」なんて想いながら、縁側で新茶を呑んだ小夜すがら。

あの一杯はねぇ、美味しかったよ。

 

 

片岡妙晶

真宗興正派 僧侶・宇治園製茶公認日本茶大使

ネコさんと売茶翁が好き

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